対話徒手療法とは
からだを動かしているのは骨ではなく筋肉であり、ほとんどの痛みの原因は、筋肉の断裂あるいは過緊張です。筋肉の断裂や過緊張が張力のひずみを作り、骨や骨盤、椎間板のズレを生みます。ですから、痛みの原因が骨や骨盤、椎間板、筋膜などであることは極めて稀です。
ここでは筋肉の過緊張に対し、筋肉の緊張を緩めることを目的として、こころとからだの治療室独自で確立された対話徒手療法についての基本知識や技法などについて解説します。
さらに、こころとからだの治療室での対話徒手療法についてもご紹介します。
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対話徒手療法とは
対話徒手療法とは、指先の感覚を用いて、筋肉の反応と対話しながらすすめる、筋肉の緊張を緩めることを目的とした手技療法です。外観はマッサージによく似ています。
対話徒手療法の特徴
一般のマッサージと比較して、対話徒手療法の大きな特徴は主に以下の3つです。
①筋肉のリラックスを目的としています。
リラックスとは爽快感ではなく脱力感です。「あ~気持ち良かった~!サイコー!!」はリラックスではありません。本当の意味のリラックスは、なかなか言葉では言い表せない、幸福感を伴った脱力感です。
対話徒手療法では距離感を大切にします。マッサージや整体では硬く緊張した筋肉に強い刺激を与えることで一時的に緊張をゆるめます。しかし、強い刺激に対する防衛反応が賦活され、数日のうちに緊張がより強化されてしまいます。それに対して対話徒手療法では硬く緊張した筋肉には、当初やさしい刺激でアプローチし、元々緩んでいて、こちらの刺激を受け入れてくれる筋肉にはより深く強くアプロ―チします。つまり、余分な防衛反応が賦活されることがなく、緊張が強化されることがありません。
筋肉へのアプローチは、人と人とが出逢い仲良くなって行くプロセスと同じです。初対面の人にいきなり抱きつけば二度とその人とは仲良くなれないでしょう。最初は挨拶から始め、徐々に距離が縮まっていく、そらが自然な流れです。対話徒手療法のみがとり得る、このようなアプローチをするからこそ、全身の筋肉が緩み、深いリラックス状態が得られます。
なお、治療時には男性はパンツ一枚、女性はこちらで用意する患者着に着替えていただきます。
②一度に全身を緩めます。
巷ではよく“全身治療”という言葉がむやみに使われていますが、全身とは胸や脇の下、鼠径部、お尻、内ももなどをも含みます。
筋肉は電車の連結のように、筋連結、腱連結、膜連結などと呼ばれる構造を持ち、お互いに引っ張り合い、綱引きをしています。治療プロセスで、全身のどこかに緊張を残してしまえば、すぐに綱引きが始まり、あっという間に元通りの緊張に戻ってしまいます。ですから筋肉は一度に全身を緩める必要があります。
対話徒手療法では遠慮なく、まさに全身の筋肉を一度に緩めます。
③治療間隔を、必ず最低2週間空けます。
対話徒手療法に限らずあらゆる手技療法の治療回数は少ないに越したことはありません。なぜなら、からだに刺激を入れるということは、からだに傷をつけてしまう行為とも言えるからです。
細胞の大きさはミクロのレベルです。指や肘などの、相対的に巨大なもので刺激を受ければ、たとえ軽い刺激であっても細胞は傷を負ってしまいます。
たとえばころんで膝をすりむいたとしましょう。傷が治る(自然治癒する)ためには血が止まり、かさぶたができ、かさぶたが取れるまで、その間約2週間が必要です。もし毎日とか3日、あるいは毎週1回すりむくことを繰り返していれば、傷が治ることは永遠にないでしょう。治療との違いは皮膚が破れているか否かだけ、ということになります。人間のからだは自然治癒の仕組みでしか治りません。
ですから治療は、自然治癒を待つ間、最低2週間は間隔(インターバル)を確保しなければなりません。
対話徒手療法では、原則として当初の2~3ヶ月間は2週間に1回、翌月からは3週間をはさみ月に1回、その後は筋緊張の程度を診ながら徐々に治療回数を減らして行きます。
対話徒手療法の治療機序など
★痛みの原因は骨や椎間板、筋膜の癒着などではなく筋肉にあります!
からだを動かしているのは骨ではなく筋肉です。骨は文字通り骨組みであるため、ほとんどの痛みの原因は、筋肉の断裂あるいは過緊張によるものです。筋肉の断裂や過緊張が張力のひずみを作り、結果として骨や骨盤、椎間板のズレを生みます。痛みの原因が関節や骨盤、椎間板、筋膜などであることは極めて稀です。
さらに、からだの左右がまったく対称な人間はひとりも居ません。つまり多少のずれは心配要りません。筋肉の緩みに伴って、あるべき位置に戻ります。
★筋膜は癒着などしません!
大けがや手術でも受けない限り、筋膜が自然に癒着することなどあり得ません。
★起こっているのは循環障害による酸素不足です!
先天性疾患等を除き、ほとんどの病気の発症の直前には、血液の循環障害による局所の酸素不足が存在します。循環障害の原因は、様々な心身のストレスによる筋肉の過緊張状態が頻繁に、かつ長く続くことです。
筋肉がエネルギー(酸素)を必要とするのは収縮時だけでなく、緩む時も同様です。筋肉は、収縮して硬くなることにより周囲の血管を圧迫してしまい、筋肉自らの栄養血管をも同様に圧迫してしまいます。それによるエネルギー(酸素)不足のため筋肉が緩むことが出来ず、結果としてコリや痛みにつながります。
筋肉を暖めることにより血管が拡がり、血流量が増え、酸素供給が増加します。血管は、いわばラジエーターです。カイロなどで温めたり湯治に行ったりすることで症状が一時的に改善するのは、このような理由によります。
対話徒手療法では一度に全身の緊張を緩めることにより、循環障害による全身のエネルギー(酸素)不足を改善・解消します。
こころとからだの治療室の対話徒手療法
続いて、当室が提供する対話徒手療法についてご紹介します。
治療所要時間
対話徒手療法では、一度に全身の筋肉を緩めますので、治療時間は1時間半~2時間、場合によっては2時間を超えることもあります。
治療後の副反応
治療後は一時的に症状が悪化したように感じることがあります。それは、筋肉が緩み、血管が拡がり、血流量が増え、エネルギー(酸素)供給が活発になった証拠です。
神経(自律神経も含む)の仕事は、その分布先(局所)の状態を正確に脳に伝えることです。神経も細胞ですので、治療前までは酸素不足が続いていて、満足に自分の仕事ができず、痛みを脳に伝えるえることが出来ていなかった、ということになります。つまり、神経のエネルギー(酸素)不足が解消され、今まで感じていなかった分布先(局所)の状態を痛みとして感じることができるようになった、とお考え下さい。
そのため、一時的に症状が悪化したように感じたとしても、緩やかに回復して行きますのでご安心ください。
回復までに要する期間
対話徒手療法の回復までに要する期間は不詳です。
よく患者さんからは、「どれくらいの期間で治りますか?」という質問をお受けします。そんな時、私は「実際に治療してみなければ判りませんが、最初の変化は2ヶ月から3ヶ月、次の大きな変化には半年から1年半はかかるでしょう」と答えるようにしています。
なぜなら、本当の意味でからだが変化するまでには当然それくらいの時間を要するからです。たとえば明日の朝、いきなり10キロ太っていた、あるいは痩せていたなどということが考えられるでしょうか?
対話徒手療法ではゆっくりとからだの声を聴きながら筋緊張の調整を行います。
受付人数
対話徒手療法では、あえて1日2名に限定し、マンツーマンで丁寧に治療します。
治療時間は1時間30分を目指しますが、回数の少ないうちは、2時間前後に及びます。その間、常に筋肉との対話(フィードバック)をくりかえしていかなければなりません。マンツーマンで治療しますので、体力と集中力の消耗が激しく、1日に治療できる人数は2名までとさせていただいています。そのため、初診の場合、治療開始をお待ちいただくことが有り得ますが、何卒ご理解をお願い致します。
治療の流れ
問診表記入→症状聴取→治療開始(仰向けで脚の付け根から大腿前面・外側面、下肢前面、内・外側面、腹部、胸部へ→横向きで臀部、下肢外側面、内腿、下腿側面へ→うつ伏せで下肢後面、足底、腰背部、上腕、頸部へ→再び仰向けで頸部)→次回の予約。
ただし、これはおおよそのルーティーンです。患者さん各々の症状に合わせて適宜調整いたします。
室長から皆さまへ
当室の施術代金は一見高額に思えるかもしれません。しかし、対話徒手療法は、その場しのぎの治療ではなく根本の原因を探し当て治療します。そのため、これまで長く悩まれていた不快な症状を治癒、ないしは気にならない程度にまで軽減させることが可能です。つまり、コストパフォーマンスは抜群です。
たとえば「もう痛みとは一生付き合っていかなければならない」などと確信されていませんか?もしそのような場合、気力・行動力・快適さ・様々なチャンスなど、失う価値は計り知れません。
5年、10年、何十年と苦しみ続けてみえる方を特に歓迎いたします。
最後に
なかなか症状が軽減しない場合、その原因がこころの傷=トラウマ(心的外傷体験・PTSD)にある場合があります。これまでの臨床経験から、かなりの割合でそのような方が含まれていると感じています。
トラウマと聞くと、事件や事故に巻き込まれた人に特有の、映像を伴ったフラッシュバックを指し、私には関係が無いと感じられるかもしれません。
しかし、実際はトラウマの無い人は極めてまれです。
トラウマ(Trauma)にはその頭文字を取ってT(ラージティー)とt(スモールティー)の2つがあります。
最大の違いは❝命に係わる❞とご本人が感じたか否かです。
一般的には、T(ラージティー)は、皆さまが普通にイメージされる、事件や事故に伴って残存する記憶と身体反応です。また、幼少期に受けたさまざまな叱責、罰(閉じ込め・締め出しなど)、迷子、入院、注射、外科手術、歯科治療、育児園への最初の登園、などなど、日常に見受けられる “幼児が泣き叫んでいる状況” もT(ラージティー)になり得ます。
そして、それ以外のt(スモールティー)こそが誰もが持ちうるトラウマになります。
たとえば嫌いな人物や食べ物が目の前に顕れると、イヤな気分になったり、身体がゾクっとしたり、ザワっと反応しないでしょうか?。これこそがフラッシュバックです。
もし、現在の緊張状態がT(ラージティー)やt(スモールティー)由来だとすれば、からだからのアプローチはかえって遠回りになってしまう可能性があります。もし、心当たりがおありの方は遠慮なくご相談ください。
副次効果など
★筋肉が緩めば気力が戻り、QOLが向上します
痛みやコリを抱えながらの生活は、仕事でもプライベートでも苦痛を伴います。物事への集中を邪魔され、パフォーマンスが下がってしまうでしょう。
気力にもキャパシティーがあります。痛みやコリに気持ちを奪われてしまっていれば、自ずと余裕が失われ、気力がなくなってしまいます。
筋肉を緩めることで心身に余裕が生まれ、気力が戻ることに繋がります。
★QOLを向上させポテンシャリティーの解放を実現させます
これまでの人生のいたるところで、痛みやコリによる不快感に邪魔されて余裕をなくし、それが原因で逃したチャンスは無かったでしょうか?今後もそれらが続くようであれば、著しい損失を被るのではないでしょうか?
もし対話徒手療法で筋肉が緩み、痛みやコリが気にならなくなれば、自ずとQOLが向上し、眠っていたポテンシャリティーが解放されパフォーマンスが上がります。仕事でもプライベートでも物事に余裕をもって対応でき、あなた本来の生き方が出来るようになるでしょう。
あなたは、本当はもっと楽に生きられるのです!!